日本にもフィットネスブームがやってきて、筋トレ・筋肉自慢Youtuberたちが注目を浴びるようになってきました。
そんな中、無視できない問題が1つあります。
ドーピング・ステロイドの問題です。
スポーツファーマシストてろはんさんの動画によると、ドーピングワースト3の競技は以下のようなものになります。
- ボディビル競技
- 自転車競技
- パワーリフティング・陸上競技
筋トレ系Youtubeチャンネルを楽しむために、視聴者側が最低限知っておかなければならないことをまとめました。
大前提:ステロイド・ドーピングを使っているかどうかは本人にしかわからない。
大前提として、ステロイドを使用してドーピング行為を行っているかどうかは、検査をしない限り本人にしかわかりようがありません。
- 現在も使用している。
- 以前は使っていた。
- 一度も使ったことはない。
「〇〇はユーザーだ。」「〇〇は魔法使いだ。」などと断定することはしません。なぜなら、わからないからです。
- 乳首が膨らんでいる?
- 腹筋が離れている?
- 急に筋肉がデカくなった?
これでわかるなら、わざわざドーピング検査なんてしないわけですよ。
素人が画像を見てユーザーだ・ナチュラルだと騒ぐのは愚の骨頂でしかありません。
私の考えまとめ
私の考え方を先に簡単にまとめておきますと、以下のようなものになります。
- ナチュラルでトレーニングをしている人を尊敬しているし参考にしたい。
- ステロイドでデカくなった人は見てて楽しい。
- ステロイド禁止大会にステを使って出る人間を軽蔑している。
- ステロイドは肯定しないが、使うのは止められない。
- 視聴者側がもっと知らなければならない。
- 子どもたちが使用しないように注意喚起を。
視聴者側が知っておくべきことについて詳しく見ていきましょう。
SPORT or SHOW?スポーツか、ショーか。
突然ですが、私はハンマー投げの室伏広治選手が大好きです。
彼は2004年のアテネオリンピックで一度は銀メダルになったものの、その後金メダルの選手のドーピングが発覚、繰り上がりで金メダルとなりました。
体格では欧米勢に劣るが、父子で高速4回転投法を磨き上げた。クリーンな競技人生が報われたが、「メダルは直接表彰台で受け取りたかった」と本音も漏らした。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2020050100250&g=spo
彼が表彰台の一番上で金メダルを掲げる姿を見たかった。
スポーツの世界では、ドーピング行為は禁止されています。薬の力に頼らず、人間の持てる力を最大限に発揮して戦う。それがスポーツ。
私は自らの限界に挑戦するスポーツマンを尊敬します。
ボディビル競技の「暗黙の了解」:ステロイド使用
筋トレをしない一般人にとって、ボディービルダーの世界は未知の世界。
ただのタンパク質であるプロテインですら、ようやく認知され始めたところです。
ボディビルダーたちのトップ、いわゆる「プロボディービルダー」たちは、人間の限界を超えた筋肉をつけるために「アナボリックステロイド(筋肉増強剤)」というものを使用しています。
いわゆる「ドーピング」をしているのが普通の世界なのです。
アーノルド・シュワルツェネッガーだって使った。
世界的に人気の俳優、アーノルド・シュワルツェネッガーもステロイドを使用していたと公言しています。
筋トレ好きにとっては「当たり前」なのかもしれませんが、一般人からすればその当たり前は「驚くべき事実」だったりします。
世界のいわゆるプロの選手たちは、基本的にステロイドを使用しているという事実があります。
2つの流れ:ナチュラルか、ユーザーか。
ボディビルディングを競技(スポーツ)として普及させたいという方たちも、もちろんいます。
そういった人たちは、ドーピング検査のある大会に出場して競い合っています。
しかし残念ながら、人気があるのはステロイドを使用したモンスターたちの戦いなんですね。
確かに見ていて凄いと思うのは、いわゆるプロの方ですからね。
みんな筋肉ショーが見たいんですね。
日本のボディビル大会の現状
日本にはボディコンテストの団体がいくつかありますが、大きいところで2つ「JBBF」と「FWJ(NPCJ)」という団体があります。
両団体とも「ステロイド等のドーピング行為を禁止する」としていますが、JBBFにはドーピング検査があり、FWJにはドーピング検査がありません。
■ JBBF
JADA(日本アンチ・ドーピング機構)に加盟。
ドーピング検査あり。検査結果公表。
■ FWJ(旧 NPCJ)
ステロイド使用を公言する者の参加不可。
ドーピング検査なし。
不思議な世界「ボディビル」:プロはステロイドユーザーだらけ
JBBF(検査がある大会)でトップ選手として戦うジュラシック木澤さんは言います。
「アマチュアを極めた先にナチュラルのプロがあるのなら、私も目指していた。」
アマチュアを極めた先のプロがユーザーだらけという事実を知って、誰よりもショックを受けたのではないでしょうか。
一般の人は「公然の秘密・暗黙のルール」なんて知らない

トップの選手がステロイドを使っているのなんて当たり前。

みんな知ってるに決まってる。
残念ながら「みんな」というのは「筋トレをしている俺の周りのみんな」です。
これから筋トレをしようと思っている一般人や、一般視聴者にはそれが常識ではありません。アーノルド・シュワルツェネッガーがステロイドを使用していたということを、ほとんどの一般人は知らないでしょう。

外人だからあれだけムキムキになるんだ。
くらいにしか思っていません。(もちろんそれもあるけれど。)
公然の秘密なんでしょ?だったらもっと広めないと。
アナタはどこでいわゆるプロの人たちがステロイドを使用していると知りましたか?いつ気づきましたか?
薬物検査のない大会が日本で開催されているということをどの段階で知りましたか?
私は2019年のビーフ佐々木クラシックという大会で、ステロイドユーザーが出場してしまって大問題になった事件です。
「え、そうなの?」
「え、薬使ってるの?」
「え、それって公然の秘密だったの?」と。
努力していないなんて誰も言ってない。すごいと思うよ。
「薬を使っただけじゃあの体にはなれないよ。」
「お前がデカくないからひがんでるだけだろ?」
「ごちゃごちゃ言わずに筋トレしろ。」
ステロイド容認派の中にはそのような意見を持っている方もいます。
メチャメチャハードに筋トレして、メチャメチャハードな食事管理して頑張っているんだぞと。
そんな事はわかっています。めっちゃ努力してるのもわかってますって。
ユーザーに対する嫌悪感の正体
ユーザー「俺みたいになりたかったら、このサプリを飲んで、俺のパーソナル指導を受けて、俺のアパレルを使え。」
ナチュラルの同業者はたまったものじゃないですよね。何も知らない一般人からすれば、「あの人のほうがデカい、スゴイ。」ですから。
「頼むからモンスターと比べないでくれ。そして気づいてくれ。」
これがナチュラルトレーニーの一番言いたいところだと思います。
ナチュラルはもっとナチュラルをアピールして欲しい。
ユーザーの方たちはカッコいいです。カッコよく見せるのがウマいです。まさにエンターテイナー。
ナチュラルの方はなんというか、まさに競技者という感じ。カッコいいのにカッコよく見せる術を持っていない。非常にもったいない!
ナチュラルを全面に押し出してSNSを活用し、どんどん売り出していけばきっと賛同者も増えていくと思います。
筋トレ系Youtuberは、語れない・語らない・そしてビジネスマンだ。
筋トレ系Youtuberは、ステロイドについて語りません。
語ったとしても、いわゆるプロの方々とコラボをして動画の再生数を稼ぎます。
彼らもビジネスでYoutubeをやっていますから、再生数は取りたいわけです。
筋トレYoutuberは、ステロイドの話は迷惑がかかるからできない
元シルク・ドゥ・ソレイユパフォーマーの山澤礼明さんは、自身の大会(NPCJ)前に「自分は使うつもりはない」という主旨のステロイドに関する動画をアップしました。
そのことで、多方面に迷惑がかかったためステロイドに言及した動画を削除したそうです。また、今後大会には出られるかどうかはわからないということでした。
視聴者側が知らなければならない。
こんな現状だからこそ私たち視聴者側が、今のフィットネス業界の現状・Youtuberたちの現状を知らなければならいと思いました。
最初に言いましたが、見分ける方法なんてありません。結局は自分で情報を集めて判断するしかありません。
・そういう世界なんだと知った上で応援するもよし。
・ナチュラルを公言する人を応援するもよし。
問題は「知らない」こと。
検査なしの大会に出場している選手でも、「俺はステロイドを使ってない!」と言っている選手を私は信じます。
「私は使っていません」と言いながら使う愚か者もいるかもしれません。
それは見抜けなかった自分の人を見る目がなかったということにしようと思っています。基本的に私は信じます。
「検査をすり抜ける薬がある。」という人もいますが、そんなこと言ったら何も信じられないでしょう。
結論:ドーピング検査をしよう。国が禁止しよう。
我々一般社団法人NPCJは、全てのフィットネス愛好家の日頃の成果を発表する場を提供しております。
その根底にあるのは、スポーツマンシップとルール厳守、マナーを大切にする選手支援企業です。
全ての参加者が公正公明な審査を受ける為にも様々な薬物使用排除を厳守して参ります。
従って、薬物使用やそれら薬物使用を公言する者のFWJ主催コンテスト、セミナー、イベントへの参加を一切禁止いたします。
FWJに参加する選手達に対し、敬意と応援を引き続きよろしくお願いいたします。一般社団法人 NPCJ
https://fwj.jp/philosophy/
代表理事 庄司貴之
・スポーツマンシップ
・ルール厳守
・薬物使用排除
・薬物使用者の参加を禁止
これだけ言っているのだから、FWJさんはJADAに加盟してドーピング検査しましょう。そうしなければ選手たちは使い続けます。
「相手が使ってくるなら俺も使うしかない…。」
選手は自分を高められるのであれば、使えるなら何でも使ってしまいます。
競技団体や周りの人間が止めてあげなければならないことがあるのではないでしょうか?
国が動け!
■筋肉増強剤で重い肝障害も
筋肉の増強目的で使われている「アナボリックステロイド」による健康被害が相次いでいるとして、厚生労働省が利用実態の調査を始めた。インターネットで購入されることが多く、重い肝機能障害になったとの報告もある。深刻な影響が確認されれば、輸入を規制する方針。中略
国内の医療機関からは昨年、アナボリックステロイドを筋肉増強目的で使用した男性が重い肝機能障害となった事例が報告された。消費者庁にも、成分を含んだとみられる健康食品を飲んだ人から下痢やアレルギー症状の被害相談が寄せられている。死亡事例の報告はないという。
空前のフィットネスブーム 業態多様化トラブル増
2020年10月から、ハンマー投げの室伏広治さんがスポーツ庁の長官となります。
オリンピックもありますし、ドーピング規制をもっと厳しくやってもらえれば嬉しいなと個人的には思っています。
尊敬するアスリート・見て楽しむショーマン・軽蔑するライアー
ナチュラルもユーザーも知った上で、自分で判断してほしいというのが私の思うところ。
ちなみに私はこのように考えています。
人間の限界に挑戦するスポーツマン・アスリート
オリンピック競技や多くのスポーツがアンチ・ドーピングであるのと同様に、人間として人間の限界に挑むボディビルダーを尊敬し応援します。
ナチュラルとしての筋トレ方法や食事・休息のとり方などを参考にさせていただきます。
ステロイドを使って人間の枠を超えるショーマン
ショービジネスとして、エンターテインメントとして楽しませていただいています。
私たちとは別の生き物を見ているような感覚。モチベーションを上げたり、見て楽しむことができるのがショーマン。
軽蔑するライアー
ステロイドの使用を禁止している大会に、ステロイドを使って出る愚か者を私は軽蔑します。
前述した室伏広治選手の繰り上がり金メダルもそうですが、もしその人が出場していなければ、決勝戦に残れた選手が1人いたわけです。
あらゆるスポーツでドーピング行為は禁止されています。使っていないと嘘をついて、大会に出場する人間は最低だと思っています。
FWJはもう、しゃーない。ナチュラルで出る人は魔法使いも出てくる可能性があることを肝に銘じておきましょう。
法律で禁止されていない:タバコと大麻の間
現在のところ、ステロイドの使用に関して日本の法律では禁止されてはいません。
医師が処方して使うアナボリックステロイド
高須幹弥先生もおっしゃっていますが、ステロイドは治療目的で使われることがあります。
- 骨粗鬆症の治療
- やけどの消耗状態の治療
- がんの消耗状態の治療
- 下垂体性小人症の治療
- 再生不良性貧血の治療
などのために使用するなど、医師が診断して正しい量を処方することで、メリットがデメリットを上回ります。
副作用としては以下のようなものを高須先生はあげていました。
副作用
- 血圧の上昇
- コレステロール値の上昇→循環器系のリスク
- 心肥大→心不全のリスク
- 皮脂の分泌増→ニキビが増える
- 肝機能の低下→肝障害のリスク
- 発がん性
- 白血病のリスク
- 精神障害(躁状態とうつ状態)
- 攻撃性の増加(ロイドレイジ)
- 女性化乳房
- 睾丸萎縮→無精子症
などがあるそうです。
高須クリニックにも、女性化乳房の治療で訪れるボディービルやフィジーク選手が結構いるのだとか。
タバコと大麻の中間のイメージ(個人のイメージ)
現在の個人的なアナボリックステロイドのイメージは、タバコと大麻の中間的な位置にあります。タバコもアナボリックステロイドも大麻も使うべきではないと思っています。
■タバコ
依存性がありカラダに悪い。しかし日本の法律では禁止されていないし、お店で買うことができる。
■ステロイド
良い面も悪い面もある。日本の法律では禁止されていない。しかし一般的な店で買うことはできない(個人輸入)医療用に医者が処方し、治療として使う場合がある。
■大麻
依存性があり、カラダに悪いとされている。日本では法律で所持が禁止されている。医療用に医者が使用することは許可されている。海外の一部地域では合法とされている。
どれもやめとけという感じ。
タバコとステロイドはとめるけど、どうしてもという場合は止められない。
法律で禁止されているわけではないから。
ステロイド副作用と医療費
「副作用で医療費がかかる、俺達の医療費の無駄にしてんじゃねぇ!」という、ステロイド否定派の方がいますが、私はその部分はちょっと違うと思っています。
タバコであれステロイドであれ大麻であれ、カラダに悪いとわかっていながら使う。
「いざ副作用が出たら税金使って治療してくださいってのはどうなんだよ?」という気持ちはあります。
ありますが、助けてあげよう。そこは。
最大限の注意喚起はすべき。

そんな危険を犯してまで使うのは相当の覚悟がある人間だろう。
そう思うでしょう。でもね、世の中にはいろいろな人がいるんです。
・使えば楽に筋肉がつくだろう。
・筋トレしなくてもかっこいい体になりたい。
そんなちょっとした好奇心で使っちゃう人、いるんですよ。サプリメント感覚でステロイドに手を出す人、いるんですよ。
Yahoo知恵袋でサイクルを聞くアホ
Yahoo知恵袋で「どんなサイクルで使えばいいですか?」なんて聞いてる人がいるくらいですよ?
解答には「私は薬学について大学で学んだ専門家です。ステロイドについて詳しく知りたい場合は、このNoteを購入してください。」
ってもうギャグみたいなやり取りが行われているんです。質問者の人、買ったのかなぁ…。
危惧すべきは子どもたちの未来
ぶっちゃけ大人はいいんです。どうぞご自由に。
私が危惧するところは、インターネット時代の子どもたち。Youtubeをはじめ、インターネットから様々な情報を得ます。
ネットでの買い物も抵抗なくできるでしょう。
高校生や、早い子では中学生くらいからすでにトレーニングを始める子もいます。そういった子たちにちゃんと指導する機会をもっと作れればいいのにと思います。
フィットネスってなんだろうね?
フィットネス:健康。また、健康や体力の維持・向上を目的として行う運動。
https://dictionary.goo.ne.jp/word/%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%83%E3%83%88%E3%83%8D%E3%82%B9/
私たちは今一度「フィットネス」について考える必要があるでしょう。
今後も筋肉リテラシーを高めて、健康なカラダづくりを頑張っていきましょう!

ネットフリックス入っている人は、ぜひ。
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